o-zo-m-pi2007-04-25


振り返ると、僕はいつも夢を見ていた。                       
小さな小さな家で生まれ、大きくて温かな愛の温もりの中で育った。小さな焚き火が出来る程の庭があった。
庭は二メートルぐらいの高さの正木という常緑広葉樹で出来た生垣に囲まれている。
一面を真っ白にする冬の雪化粧も、蝶を舞い込ませる春風も、照りつける真夏の日差しも、空気の縮んでゆくような秋の気配も、季節は全てその庭に訪れ僕に顔を見せていた。
僕はそれを捕まえるのでもない、それに呑み込まれるのでもない。                           
ただ、泣き虫だった僕の暮らしは、ふうっと通り過ぎて行くそれぞれの季節の瞳にじっと見つめられていたようだった。